2009年4月1日水曜日

♪ 『戴冠ミサ』の部屋 ♪ その⑥

~『Sanctus』~

『サンクトゥス』はラテン語で『聖なる』という意味です。
神への感謝を捧げ、その栄光を称える賛歌、『感謝の賛歌』です。
(冒頭で『サンクトゥス』を3回唱えるので、和訳では『三聖頌』とも言われています)
『信じることの喜び』をまっすぐに自信をもって表現しきって終わった『Credo』に続き、前奏なしで始まる、合唱とオーケストラの最初の『Sanctus』のハーモニーは本当に荘厳で素敵です。
 

この最初のハーモニーを耳にした瞬間、万感の思いで天を仰ぎ見たくなるような・・・、そんな気がしませんか?
その、『そんな気が・・・』が楽譜の中にも少し見てとれます。
前半3曲の合唱最初のハーモニーは、ハ長調のⅠの和音(ドミソ)でした。
どまんなかで直球!『Credo』にいたっては全てのパートが主音(ド)で同じでした。


ところがこの『Sanctus』、
最初のハーモニーを聴くと今までの3曲とは少し異なった印象をうけませんか?
同じⅠの和音(ドミソ)でも、それが少々くるっと転回し、5度離れた”ドソ”の上に”ミ”がのっています。
このほんの少しの和音の変化よって生まれてきた『Sanctus』の最初のハーモニーは、まるで天まで届くかのような、崇高で上へ上への新しい広がりを生み出し、神への感謝の気持ちをより一層高めてくれている・・・、なんだかそんな気がしませんか?


『Credo』から『Sanctus』へ、
音符のないこの時間もまた『聴きどころ&腕の見せどころ』かもしれませんね。